愛読者の方へ

本書を探し求めている愛読者の方へ

比類なき孤高の「思考訓練の場としての英文解釈」を遺された、多田正行という白眉の多田正行先生は、東大仏文科を出ると、長い間、大学受験界の通信添オリオン社で、受験生指導に座していました。

それも本職ではなくて、仮住まいに過ぎなかったのですが、受験生との交流を通して、受験英語なる偏狭への失望感から、多角的に深く広く、言語としての英語が探究できるメソッドを開発しました。
それが、「思考訓練の場」シリーズの端緒になりましたが、発売以来、全国の東大受験の名門高校受験生はもとより、東大、京大などの大学生、さらには、国公立・難関私立大学の教授クラスや、著名な英文学者まで、幅広いフアンに支えられてきました。
このように、本書は、単なる参考書の域ではなく、座右の銘として哲学書としても、熱狂的なフアンが現在でも多くいらっしゃいます。

育文社に版権が引き継がれたのが、1991年ですが、会社を閉鎖するまでに、英文解釈(1)(2)併せて概算10万部の販売実績を残しています。
また、遺作の(3)は、発売以来、重版を短期間で重ねるほどの人気を博しました。
しかし、育文社が後継者不在のまま、経営者の高齢化が進み、会社閉鎖に至りましたが、年間3,000から6,000冊の注文実績を考えますと、現在でも本誌を探し求めている受験生や、熱烈なフアンが多数存在され、お手元に届かない現状は、元出版元の責任上、まことに申し訳がなく、深くお詫び申し上げる次第です。
幸いに、多田先生門下のGHS予備校オーナーが、在庫処分を担って下さいましたので、わずかな在庫数ですが、愛読者に頒布する筋道ができましたことを報告申し上げます。
GHS予備校は、東大卒生グループが、明日の人材育成を理念に創設した、いわば現代の名門進学塾として、少人数制を貫く教場主義で知られており、ここで多田英文解釈の伝統が、受け継がれることに安堵感を覚えます。本誌を探し求めている愛読者様に、一日も早くお手元にお届けできることを、念じてやみません。

株式会社  育文社 元代表取締役 山田克己